怒りがあると、してもらった記憶が抜けやすいんです。
恋人に、家族に、時には友達や上司に、誰かに怒りの感情を持つと、
「してもらったこと、やってもらったこと」
の記憶がまるっと抜けてしまっているかもしれません。

怒りがあると、してもらったことって抜けやすい


私の両親は離婚しています。
両親の離婚以来、私の父は私たち姉妹にほとんど会いに来てくれませんでした。
私は
「もっと会いに来てほしい」
寂しさを感じていました。

そして、その寂しさは徐々に怒りに変わっていきます。

こんなに寂しいのは、父は会いに来てくれなかったからだ。
私たちのことを見捨てたからだ。

「信じられない、お父さんなのに。父親として愛情のかけらもない」
「血も涙もない人」
私は私は父を極悪人のように思うようになっていきました。
そして、私は12歳~22歳まで、父に会えずに、関心なんて持ってもらえずに生きてきたと思っていました。

愛してもらった記憶


ところがです。
去年私が父と会話しているとき、父から
「ハワイ旅行、楽しかったな。ちさは高校生だったか?」
と、言われたのです。

「え!??私、12歳~22歳まで父からまったく連絡もらってなかったんじゃなかったっけ?」

私の動揺をよそに、目の前の父はとっても嬉しそうに話すので、とてもじゃないのですが
「覚えてない。なにそれ?」
なんて私は言えないのです。

冷や汗をかきながら、私の頭は猛回転します。
そうしたところ、うすぼんやりと記憶よみがえってきます。
それは、ハワイのショッピングセンターで水着を買ってもらっている高校生のころの私と、レジにいる父の姿です。

「あぁ、私、高校生のころ父とハワイに絶対行ってる」
この時の私は、自分の怒りによって、記憶を削除したことを痛感しました。

父に怒りがあったので、してもらったことがすっぽり抜けていたのです。


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選択的記憶


さて、みなさんも、恋人や家族などの間でも、同じことが起こっているかもしれません。
愛情を受け取れなくなっていること、ありませんか?

親しい間柄であればあるほど、期待と落胆のギャップは大きくなりやすくなります。
そして、怒りへと繋がりやすくなります。

しかし、怒りとは何でしょうか。
「愛されたい、わかってほしい、助けて欲しい」
が満たされなかったとき、感じる感情だといわれています。

このように怒りを感じていると、私たちはさらに怒りの記憶だけが強く残したり、思い出したりして、いい思い出は忘れ去ろうとしてします。
これを「選択的記憶」といいます。

このように怒りがあると、私たちは記憶を歪めてしまうことがあります。


怒りと許しと



怒りはほおっておくと、人間関係を悪化させたり、心身の不調にいたってしまうことすらあります。
もちろん、怒りは決して悪い感情ではありません。
しかし、怒りに囚われ続けてしまうのも苦しいもの。

この怒りに囚われ続けてしまうと、なかなか人は幸せを感じにくくなってしまいます。
その怒りに最も効果的なものは、許しです。
すべての心理学に「許し」の項目があるくらいです。

でも、とはいえ
「すぐには許せたら、こんなに怒ってません」
と、思うのではないでしょうか。

だとしたらこの怒りをどうしたらいいのでしょうか。

■してもらったことを、思い出して受け取ろう



「してもらったことを思い出そう」
と、意欲をもってみませんか?

許そうと思わなくてもいいのです。
怒ったままでもいいのです。

でも、もし、相手があなたにとって大事な人なのであれば
「してもらったことがあるのかもしれない」
と、振り返ってみませんか?

案外、「けっこうしてもらっていた」
ということにびっくりして

「受け取っていないのは自分だった」
ということに気付かれるかもしれません。

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